ギターのストロークが上手くできない、と悩んでいませんか?ストロークは単純な動作ですが、とても奥が深いものです。もし、ストロークが上手くできれば、弾き語りをすれば歌が上手く聞こえ、バンドで演奏すればバンド全体に一体感を生みだします。ストロークは、とても重要な技術なのです。
しかし、当たり前ですが、闇雲に練習するだけでは、ストロークは上達しません。たくさんの練習をする前に、上手いストロークの方法をきちんと理解しておくことが必要です。
この記事では、徹底的な分析をもとにした、ストロークが本当に上達する「6つのコツ」をご紹介します。この記事に書かれている通りに、あなた自身のストロークをきちんと分析し、良くないところを改善をすれば、ストロークは必ず上達します。
プロ級のストロークができるようになりたい、という方はぜひ、この記事をじっくり読んで、ストロークを改善しましょう。
このページの目次
1.ストロークの6つの要素
ストロークの動作は、以下の6つの要素に分けられます。
- 力加減
- 角度
- 幅
- 速さ
- 位置
- 深さ
これらの要素に目を向けて、それぞれの視点でストロークを分析・改善すれば、ストロークは格段に上達します。ここからは、これら6つの要素について順番にご紹介します。
2.力加減をコントロールする
ストロークの「力加減」とは、ピックで弦を弾くときの力の強さのことです。力加減がコントロールできるようになるだけでも、ストロークはすぐに上手くなります。
それでは、理想的な力加減とは、どのようなものか考えてみましょう。実は、ストロークが下手な人は、たいていの場合、力が強すぎることが原因で、ぎこちないストロークになってしまっています。ピックを持つ手に力が入ってしまい、ストロークがぎこちなくなってしますのです。では、力が強いとなぜ、ストロークがぎこちなくなってしまうのでしょうか。
イメージしてみてください。ピックを持つ力が強いと、ピックは手にしっかり固定されます。ピックは動きにくい状態です。この状態で弦を弾くと、ピックは弦に引っかかるはずです。ピックが弦に引っかかると、当然ストロークは鈍くなります。そして、動きが鈍くなったのを解消しようとして、さらに力が入ってしまい、ストロークはますますぎこちなくなってしまうのです。
これを解消するのは以外に簡単で、ピックを持つ手の力を抜いてピックが動きやすいようにすればよいです。ピックが弦に当たったとき、ピックが斜めに少し傾く位がちょうどいい力加減です。弦に逆らわず傾いたピックは弦に引っかからず、次の弦へスムーズに移動します。すると、力を入れなくてもストロークが滑らかに流れます。
どうしても手に力が入ってしまう場合は、手を洗った後に手についた水滴を飛ばすイメージで、手をぶらぶらさせてみましょう。力が適度に抜けているのが分かると思います。このときの手の感覚のまま、ピックを持ってストロークしてみましょう。こうすると、力を入れずにストロークできるはずです。
3.角度で音の響きが変わる
さて、力加減のコントロールに加えて、ストロークするときにピックが弦に触れる「角度」を意識すると、音を上手くコントロールできるようになります。あなたがストロークするとき、ピックはどんな角度で弦に当たっているか確認してみてください。
弦に触れる瞬間に、ピックと弦が水平になっていれば、音はきれいに響きます。図を使って説明しましょう。
これはストロークを正面から見た図です。これが「悪い例」です。この図ように、弦に対して角度をつけてピックを当てると、ピックの端が擦れます。すると音はきちんと響かず、ピックの端は削れてしまいます。さらにピックを落としやすくもなります。
一方、上の図のように、弦に対してピックを水平にすると、すべての弦を均一に弾くことができます。音がきちんと響いて、ピックは削れにくく、落としにくくなります。ストロークするときはピックの角度を意識して、弦に対して水平に当てるようにしましょう。
(追記)ストロークそのものの角度についても同様のことがいえます。図は正面から見たダウンストロークです。このようにストロークが斜めになってしまうと、1回のストロークにかかる距離が長くなってしまいます。無駄が多くなって、軽快なストロークが難しくなります。
一方、以下の図のように弦に対して垂直にピックを下ろすと、無駄が少なく効率の良いストロークになります。弦に対してピックは水平に、ストロークは垂直に、を心がけましょう。
4.効率のいい幅を見つける
ストロークの「幅」というのはストロークするときの「腕の動き幅」のことです。これをコントロールすると音の強弱が付けやすくなり、表情豊かな演奏できます。こちらも図でご説明しましょう。
赤い矢印で示しているのがストロークの「幅」です。
ダウンストロークは、下の図のように6弦より「上」に幅を持たせます。すると、振り下ろす勢いがついてパワーのあるダウンストロークができるのです。また、振り下ろした後、1弦より「下」に幅を持たせてしまうと、アップストロークへの切り返しに時間がかかってしまうので、1弦の少し下で止めると良いです。
アップストロークのときは振り上げる幅を大きくして、6弦より「上」に幅をつくります。そうすれば、自然に次のダウンストロークへ切り替えられます。
以上の流れを基本に、曲調やテンポに合わせて腕の振り幅を変えましょう。たとえば、アップテンポで小刻みにストロークをするときは、幅を小さくした方が細かい動きが作りやすいです。
音の強弱をはっきりさせたいときには、幅を大きくすれば強い音になり、幅を小さくすれば弱い音になります。このように、幅を意識的にコントロールする癖をつけましょう。そうすれば、強弱やスピード感を思い通りに表現できるようになります。
5.速さを変えて表現力を磨く
さて、ストロークの「速さ」も表現力を高める大切なポイントです。ここでいう「速さ」は、曲のテンポではなく「1ストロークの速さ」のことです。ここで、1回のストロークの速さが異なると、聴こえ方も全く異なることを実感して頂きたいと思います。
図で表現するのは難しいので、言葉で表現したものを実際に弾いてみてください。まず、6弦の上にピックを構え、「じゃら~~~~ん」とゆっくりストロークしてみましょう。これが遅いストロークです。
次に「ジャッ」と一瞬で振り下ろしてみてください。これが速いストロークです。この2種類のストロークをリズムパターンの中に様々な配分で混ぜこむことによって表現が豊かになります。
たとえば、バラードのようにゆったりとした曲で「じゃら~~~ん、ジャンジャン、ジャンジャン」と弾けば、1拍目にゆとりができて落ち着いた雰囲気が表現できると思います。一方、これを「ジャッ、ジャッジャ、ジャッジャ」と弾いてしまうと、落ち着かない雰囲気になってしまいます。このように1ストロークの速さを意図的に変えるだけで表現力は格段に高まるのです。
6.位置を変えると音の硬さが変わる
ところで、ストロークする「位置」を変えると、音の「硬さ」を変えることができます。弦を「ネック側」で弾くか「ブリッジ側」で弾くか、という話です。図のように、ネック側だと「太く・柔らかい音」になり、ブリッジ側だと「細く・硬い音」になります。バラード系の曲ならネック側で、ロック系ならブリッジ側で、と使い分けると良いです。
また、エレキギターの場合は、本体に内蔵しているピックアップセレクターを使えば自動的に、これらの音色を使い分けできるので、この通りにしなくても良いです。アコースティックギターの場合は、サウンドホールの上あたりで弾くのが一般的ですが、曲に応じて使い分けられるとより上級者に近づきます。
7.ちょうどいい深さを意識する
最後になりますが、ストロークの「深さ」はストロークの速さやボリュームに関係しています。ピックをどのくらいの深さで弦に当てるか、という話です。以下は、弦をピックで弾く様子を横から見た断面図です。いずれも図の左側がギター本体、右側がギターを構えたときの正面です。
左の図のようにピックを当てる深さが浅すぎると、音が軽くなってしまい弱弱しくなりがちです。一方、右の図のようにピックの当て方が深すぎると、弦がピックに抵抗して、弾きづらく、ぎこちないストロークになってしまいます。真ん中の図のように、ピックの先端がちょうど弦の中心をとらえるように弾くと、バランスの良いストロークになります。
8.まとめ
今回は、ストロークが本当に上達する「6つのコツ」を紹介しました。「力加減・角度・幅・速さ・位置・深さ」の6つです。一度にすべてを覚えるのは難しいので、上から1つずつ確実にできるようにすると良いです。6つすべてのコツを熟知して、ストロークを思い通りにコントロールできるようになれば、見違えるほどストロークが上手くなっていることを実感できるでしょう。
ギター初心者のための超かんたん弾き方講座からご覧の方は、次はアルペジオの弾き方を覚えましょう。