ギターには様々な奏法やテクニックがありますが、その中でも幅広いジャンルで使用されるテクニックが「アルペジオ」です。ギターを弾くうえでアルペジオは必須科目と言えます。
しかし、ギターのアルペジオは意外に難しいです。右手の動きが複雑なため、運指や歌に集中できなくて苦労することもあります。しかし安心してください。実は、たった3つのパターンを覚えるだけで、アルペジオはスイスイ弾けるようになります。
この記事では、アルペジオのやり方と上記の3つのパターンを紹介します。これさえ覚えてしまえば、何も考えなくてもアルペジオが楽々できるようになります。
このページの目次
アルペジオ(分散和音)とは?
はじめに、アルペジオとは何か確認しましょう。アルペジオは、「押さえたコードを一弦ずつピッキングするテクニック」です。すなわち、コードの音を分解してバラバラに弾くことです。左手で通常どおりにコードを押さえ、右手で弦をバラバラに弾きます。
ストロークではコードを押さえ、弦をいっぺんに鳴らしました。それに対して、アルペジオではコードを押さえ弦をバラバラに弾きます。
順番に一本一本弾いたり、弦を飛んで弾いたり、コードチェンジしながら弾いたりなど、アルペジオと一言に言っても様々な弾きわけ方があります。バラードでよく使われます。聴いたことがある人も多いはずです。
アルペジオでは右手の動きをパターン化する
アルペジオの一番のポイントは、右手の動きのパターン化してしまうことです。あなたが靴ひもを結ぶときのように、何も考えなくても指が動くようにしましょう。”体で覚える”と言い換えてもいいです。
この後に紹介する3つのパターンはアルペジオの基本的なパターンです。これらを覚えてしばらく練習します。頭で考えなくても自然に指が動くように。
ギターのアルペジオが弾けない原因と解決策
コードがしっかりと押さえられていない
ギターのアルペジオが弾けない原因として多分一番多いのが、コードをしっかり押さえられていないという事です。
コードを押さえる指が寝ていて隣の弦に触っていたり、コードを押さえる指の力が弱まっていたりするといけません。アルペジオを弾いている時に綺麗に音が鳴らず、ブチっブチっと音が途切れてしまうわけです。
解決策としては、どんなコードでもしっかり指を立てる事を意識して練習することです。
なお、コードチェンジの時間的余裕はストロークよりあるはずです。コードストロークの場合はジャーン!と一気に弾くので一瞬でコードチェンジ出来ていないと音が鳴りません。
しかし、アルペジオの場合は順番に一本一本弾いていくという奏法なので、一瞬でパッとコードを押さえなくても、弾く順番に押さえれば良い場合があります。
違う弦や余計な弦を弾いてしまう
ギターを始めたばかりの頃は、まだギターの感覚と言うのが身についていません。
なのでアルペジオに限らず、単音弾きでも違う弦を弾いたり、余計な弦を弾いてしまって当然なんです。
アルペジオは大きく腕を振る必要はありません。指先の動きで小さくピックを動かす事で綺麗で繊細な音が出ますし、他の弦を弾く危険性も減ると思います。
ギターのアルペジオ パターン➀
3.1.基本パターン

まずは、ベーシックな8ビートのパターンです。1小節内にコードが1、2個出てくるときに使えます。コードによってベース音が異なることに注意しましょう。ベース音とは、1小節の中の1拍目と3拍目にくる、コードの中で一番低い音のことです。4~6弦のどれかになります。この音は必ず親指で弾く癖をつけましょう。さらに、親指以外の指もそれぞれの担当する弦を決めておきます。
- 人差指→3弦
- 中指→2弦
- 薬指→1弦
このように指ごとに弦の担当を決めてしまうと、右手の動きがパターン化しやすいです。この指の配置に決めておくとアルペジオが簡単になるんです。まとめると以下のようになります。各弦を担当する指を決めてアルペジオを練習しましょう。
- 親指→ベース音(4~6弦のどれか)を弾く
- 人差指→3弦を弾く
- 中指→2弦を弾く
- 薬指→1弦を弾く
3.2.練習パターン

基本パターンが弾けるようになったら練習パターンをやります。C#mやF#mがやや難しいです。すべて8分音符で弾きましょう。
3.3.応用パターン(コードの頭でストローク)

練習パターンをクリアしたら、応用パターンとして小節頭をストロークにするパターンをやってみましょう。親指でベース音を弾く代わりにストロークします。親指で全ての弦をなでるように弾きます。
以下のTAB譜では小節頭に矢印をつけました。矢印の部分をストロークに変えてみましょう。これができるとアルペジオの演奏に変化がつき、表現力が増します。
※ベース音とは? ベース音を親指で弾く、と説明しました。ベース音とは何か、詳しく説明しておきます。どのコードにも必ず1つのベース音があります。ギターの場合は押さえたコードの中で一番低い音がベース音です。たとえばCコードの場合、5弦の3フレットのCの音がベース音です。実は、これがCコードという名前の理由です。反対にいうと、コードの中で一番低い音はCの音でなければならないので、Cコードを押さえるときには6弦をミュートします。 ![]() アルペジオでは小節頭にベース音を弾きます。最初にベース音を弾くことによって、それが何コードなのかがはっきり分かるので、聴き手は安心して演奏を聴くことができるんです。 |
ギターのアルペジオ パターン②
4.1.基本パターン

次は、1小節に1種類のコードが登場するときに使えるパターンです。1小節1コードのみのときは、このパターンで弾くと自然な流れになります。ポイントは、小節頭の1音だけベース音を弾いて、次の小節まで親指を使わないことです。また1~3弦の弾く順番にも注意しましょう。どこかで順番を間違ってしまうと、リズムが狂ってしまいます。それぞれの指が担当する弦はパターン①と同様です。
- 親指→ベース音(4~6弦)
- 人差指→3弦
- 中指→2弦
- 薬指→1弦
この担当を維持しましょう。
4.2.練習パターン

練習パターンを弾いてみよましょう。バレーコードがないので簡単です。すべて8分音符で弾きましょう。
4.3.応用パターン ハンマリングとプリング

応用パターンもやりましょう。アルペジオの中にハンマリングとプリングを取り入れてみました。これらのテクニックを自然に取り入れられると上級者です。単調な演奏のアクセントになるので、ぜひ習得しましょう。
ギターのアルペジオ パターン③
5.1.基本パターン

最後は1小節間に出てくるコードの数が多いときに使えるパターンです。このパターンはリズミカルな印象になりますが、1曲通してこのパターンを使うことは少ないです。曲の一部で使うことによって、演奏がスムーズに進みます。
1・2小節目は8分音符なので”ズンチャッ、ズンチャッ”というリズムを意識しましょう。”チャッ”のところで2・3弦を同時に弾きます。3・4小節目は、2本の弦を同時に弾かず、16分音符で分けて弾く。”ズンタタ、ズンタタ”というリズムを意識しましょう。
すぐにコードが切り替わるため、コードチェンジが忙しいかもしれません。コードチェンジが追い付かないときは、テンポを落とし、ゆっくり弾いて練習しましょう。
5.2.練習パターン

このパターンも練習パターンを弾いてみましょう。
5.3.応用パターン ベースラインが下降する

応用としてベースラインが下降するパターンをやってみましょう。多くの曲で取り入れらているテクニックで、小技として覚えておくと便利です。1小節目は5弦が、2小節目は6弦が「3→2→0」と下降します。このときの音の変化の感覚を覚えておくと、作曲や耳コピをするときに役立つことがあります。
ギターのアルペジオ 3つのパターンのまとめ
今回はアルペジオの3つのパターンを紹介しました。これらのパターンを体で覚え、自動的に弾けるようにしましょう。慣れてきたらTAB譜を使わず、コード譜のみで、これらのパターンを弾いてみましょう。コード譜だけでアルペジオが弾けるようになれば初心者は卒業です。最後にもう一度、3つのパターンをまとめておきます。
パターン1

パターン2

パターン3

自然に弾けるようになるまで何度でもトライしてみてください。
『ギター初心者のための超かんたん弾き方講座』からご覧の方は、次は『好きな曲を弾くための5つの手順』を読んでいよいよ自分の好きな曲の演奏に挑戦しよう。