ピッキングは音の聞こえ方や、演奏のしやすさに影響する重要な練習です。ピッキングが上手くなれば、左手の動きと右手を合わせ易くなり、演奏のリズムやノリもつかみやすくなります。
実はギターは左手よりも、右手の方が難しいです(左利きの人は逆の手です)。勿論突き詰めればどちらの手も大事ですし、難易度の高い曲を演奏するとなればどちらの手も鍛えぬかなければいけませんが、ピッキングする方の手が基本的に難易度は高いです。何故かと言うと、
- ギターは弦が6本ありますが、それを瞬時に見分けて(もしくは全く見ないで感覚で)弾きわける必要がある
- ピッキングで音に強弱をつけて曲を表現を付けているため、手の動きが複雑になる
ためです。
ピッキングの練習で、目標とするテーマは以下の2つです。
- 弦飛びをできるようにすること
- オルタネイトピッキングをできるようにすること
- ピックを当てるアングルを使い分けること
それぞれについて具体的に説明します。
弦飛びをできるようにする
まずは、弦飛びをできるようにすることです。弦飛びとは、いくつかの弦をまたいで、弾く弦を移動することです。例えば、「まず6弦を弾いて、次に5・4弦を飛ばして3弦を弾く」という感じです。
隣り合った弦に移動するのは簡単ですが、弦を飛ばして弾く場合は、次の弦が上手く狙えず、間違った弦を弾いてしまうことがあります。こういったミスを減らすのが、この練習の目的です。
では、弦飛びの具体的な練習方法を紹介します。以下のTAB譜を見てください。
弦飛び練習 EX.1
このTAB譜では1本だけ弦を飛ばして、次の弦に移動し、往復しています。6弦―4弦、5弦―3弦・・・といった具合です。
弦飛びの練習では、このように弦を何本か飛ばして、往復する練習をするのが効果的です。往復を繰り返すことで、弦と弦の間隔を覚えていきましょう。
練習の参考例として、以下に2つのTAB譜をあげておくので、取り組んでみてください。最初は右手と弦を見ながら、慣れてきたら弦を見ないで弾いてみましょう。
弦飛び練習 EX.2
弦飛び練習 EX.3
オルタネイトピッキングをできるようにする
オルタネイトピッキングとは、アップピッキングとダウンピッキングを交互に繰り返していくピッキングです。6弦側→1弦側にピッキングするのをダウンピッキング、1弦側→6弦側にピッキングするのをアップピッキングといいます。
ダウンピッキング
アップピッキング
ダウンピッキングだけ、またはアップピッキングだけでは、テンポの速い曲を弾く時にはピッキングが遅くなってしまうし、滑らかな演奏ができません。そのためアップダウンを交互に繰り返すオルタネイトピッキングができると演奏しやすくなります。
オルタネイトピッキングでは、右手は常に、アップとダウンを交互に繰り返すということを覚えておきましょう。
具体的な練習方法としては、先ほどの弦飛び練習に織り交ぜてやるのが効果的です。もう一度、「弦飛び練習EX.1」を見てみます。
TAB譜の下に、アップピッキングとダウンピッキングのマークがあるのに気付いたでしょうか?この譜面では、ダウンピッキングから始まり、アップとダウンが交互に繰り返されています。オルタネイトピッキングです。
弦が飛ぶのでアップダウンが難しいかもしれませんが、ゆっくりでいいので、アップダウンを意識しながらピッキングしましょう。
もちろん、実際の演奏では、オルタネイトピッキングしないほうが滑らかな演奏ができることもあります。必ずしもこのやり方を使わなければいけないわけではないので、あくまで練習だと思って取り組んでみてください。
上の譜面ができたら、弦飛び練習EX.2・3も同じように、オルタネイトピッキングを用いてやってみましょう。全てのTAB譜が弾けるようになれば、オルタネイトピッキングは十分にできるようになっているはずです。
ピックのアングル(角度)
ギターのピッキングでは、弦にピックを当てるアングル(角度)も重要になってきます。ピッキングのアングルは大きく3種類あります。
- 平行アングル
- 順アングル
- 逆アングル
それぞれのアングルでピッキングしてみて、音にどんなに違いが出てくるかを試してみましょう。そして、自分が出したい音に合わせてピックのアングルに変化をつけてみましょう。
ではそれぞれのアングルを順番に解説していきます。
平行アングル
平行アングルは弦に対してピックが平行に当たるようにピッキングすることを言います。ピッキングの基本的なアングルです。
ピックと弦の当たる面積が多いので、力強く抜けの良い音が特徴的です。
順アングル
順アングルはピックを弦に対してネック側に下げて斜めにピッキングすることを言います。
順アングルは音が鋭かったり、歪んだ音が出やすいので、ロックやヘヴィメタル系のギタリストに多いアングルです。
逆アングル
逆アングルはピックを弦に対してブリッジ側に下げて斜めにピッキングすることを言います。
音が柔らかいのが特徴的で、軽く弾いても弦にピックが程よく引っかかるので、しっかり輪郭のあるサウンドが出ます。
ジミ・ヘンドリックスなど黒人のギタリストに逆アングルのギタリストが多いです。
番外編1 オルタネイトピッキングの種類
実はオルタネイトピッキングには、2種類の方法があります。インサイドピッキングとアウトサイドピッキングです。
インサイドピッキングは2本の弦を内側から弾く、アウトサイドピッキングは2本の弦を外側から弾く、という点で異なっています。両方のやり方を図で見てみます。
インサイドピッキング
アウトサイドピッキング
インサイドピッキングでは、上下2本の弦を内側(インサイド)からピッキングするのに対して、アウトサイドピッキングでは外側(アウトサイド)からピッキングしています。
どちらが良いというわけではないのですが、どちらのピッキングもできるようにしておきたいものです。効率が良いのはインサイドピッキングですが、状況によって弾きやすさが異なります。ピッキングする弦やタイミングによって、インサイドとアウトサイドを使い分けられるようにしておきましょう。
番外編2 エコノミーピッキング
エコノミーピッキングは、ピッキングの際に生じる動きのロスを少なくするピッキング方法です。
オルタネイトピッキングは太い弦から細い弦に移動するときにダウン→アップ→ダウン→アップを繰り返しますが、エコノミー・ピッキングの場合はダウンの後もダウンで弾きます。その逆で細い弦から太い弦に移動する時もアップ→アップです。
速弾きをする時やアルペジオでよく使われるピッキングスタイルですが、他のピッキングよりもやや難易度は高めです。オルタネイトピッキングができるようになったら挑戦してみましょう。