あなたはギターを弾く時、左手の運指が上手くいかずに困っていないでしょうか?ギターの運指が上手くできるようになることは、ギター上達の基本中の基本です。レベルの高い演奏ができるようになるために、運指の練習は欠かせません。
とはいえ正しい練習方法を知らず、やみくもに練習していてもギターは上達しません。もしあなたがギター初心者なら、今すぐに運指の正しい練習方法を覚えるべきです。正しい練習方法を身に着ければ、周囲の誰よりも早く上達し、正確で滑らかな運指ができるようになります。
今回はギター初心者のために、今すぐできる簡単な運指の練習方法とフレーズを紹介します。毎日3分取り組むだけであなたはすぐにギターの上達を実感できるようになるはずです。
運指とは
運指(ウンシ)とは文字通り「指を運ぶ」、つまり、指を動かすことです。左手の指をスムーズに動かせるようにするための練習が、運指練習です。ギタリストたるもの、運指練習は毎日欠かさずやっておきたいものです。
具体的な運指の練習方法としては、基礎的な運指のパターンに従って指板上(ギターのネックの表面部分の板のこと、フィンガーボードともいう)で指を動かすのが効果的です。例えば、以下の楽譜を見てみましょう。以下の譜面に従ってフレーズを弾きます。
この楽譜は、6弦から1弦への縦移動と、1234フレット間の横移動をする基礎的な運指パターンです。メトロノームなどのリズムに合わせながら、何度もこのフレーズを繰り返し練習します。慣れたら、テンポを上げて練習しましょう。
そうしていくうちに自然と、弦の移動とフレットの移動がスムーズにできるようになります。この動きを体で覚えていくのです。こうした練習を、さまざまなパターンのフレーズで毎日継続して行えば、左手の運指はメキメキ上達します。練習するパターンによって、指の動きが速くなったり正確な動きができるようになったりします。実際の演奏では弾かないようなパターンもあり、指の柔軟な動きが鍛えられるので、ぜひ積極的に取り組んでみましょう。
運指練習のポイントは、できない部分を見つけること
運指練習のポイントは、繰り返しやってできない部分を見つけることです。ひたすら繰り返すだけの練習をしてはいけません。一度弾いてできない部分を見つけて、それがなぜできないのかを考えてから、もう一度やり直してみましょう。この繰り返しが効率的な練習になり、上達が早くなります。
運指練習についての注意点
今回紹介する運指の練習フレーズは全部で3つあります。どのフレーズも初心者でも簡単かつ効率よく上達できるように工夫されています。一度すべてのフレーズに目を通してみてください。
全ての運指練習フレーズを理解したら、そのあとは、自由に選んで練習をしてもらってかまいません。毎日3つ全てに取り組んでもいいし、どれか1つだけを集中してやっても良いです。
ただし、これらの練習はあくまでも基礎練習のため、やり過ぎてギターを嫌いにならないように注意してほしいです。精神的にも無理のない範囲で取り組みましょう。
それでは、ギター初心者のための運指練習フレーズを紹介します。
ギター初心者のための運指練習フレーズ1
まず最初に紹介するのは、左手のフレット移動の練習です。弦はある程度固定しつつ、フレット間の移動をスムーズに行えるようにします。
この練習は運指練習の基本として、とても重要で、エレキギターの人にもアコースティックギターの人にもおすすめです。この練習になれると、左手の指の動きが滑らかになり、フレットの押さえ間違いが少なくなります。
具体的な注意点は以下の3つです。これらは全ての運指練習に共通して大切なので、よく読んで理解しましょう。
1―1.左手の指の動きを最小限にする
まず注意してほしいことは、指を動かす時の、指の動きの大きさです。弦を押さえて次のフレットへ移動するときに、指を最小限に小さく動かすことを意識しましょう。弦から指を離す時に、指を遠くへ離すのではなく、弦からギリギリの距離で離し、次の場所へ移動します。
最小限の動きを意識する理由は、運指を早く正確に行うためです。指を大きく動かすと、それだけ運指に時間がかかり、素早い運指ができなくなります。すると、細かいフレーズや、アップテンポな曲を弾く時に、対応ができなくなってしまいます。
また、指の動きが大きいと、指をある場所から次の場所へ押さえ変えるときに、次の場所の位置を把握するのが難しくなり、それだけ運指の正確性が下がってしまいます。
指の動きを小さくすることを意識して練習を続ければ、複雑でテンポの速い演奏もすぐに対応できるようになり、どんどん演奏のレベルが上がっていきます。運指の正確性も上がり、演奏中に間違った音を出すことがなく、質の高い演奏ができるようになります。
1-1.左手の指は最小限の動きにとどめ、運指の速さと正確性を高めるようにしよう。
1-2.押さえる指の力を最小限にする
次に注意することは押さえる指の力加減だ。指の動きを最小限にするとともに、押さえるときの指の力を最小限にしましょう。
押さえる指の力を最小限にするというのは、言い換えれば、左手の指で弦を押さえるときに、最小限の力だけで弦を押さえるということです。ギターの音が正しく鳴るのは、フレットに弦がしっかり触れて、その弦が振動した時です。つまり、弦がフレットにきちんと触れてさえいれば、それ以上の力は必要ありません。
弦がフレットに触れるのに必要な力以上の力は無駄になります。必要以上の力をかけると、指の動きは固く、遅くなり、疲労感も増していきます。長時間の演奏で、素早く、滑らか運指を続けるためには、最小限の力で弦を押さえなければなりません。
初心者の段階でこのことを理解して、力を入れ過ぎないように意識しながら練習していると、運指の上達が早くなります。なぜなら力を入れ過ぎない運指練習では、指の疲労が少なくなり、長時間の練習が効率的に行えるからです。
1-2.弦は最小限の力で押さえよう
1-3.ピッキングと同時に弦を押さえる
3つ目に注意してほしいことは、弦を押さえるタイミングです。多くのスポーツでタイミングが重要なのと同様に、ギターの運指においてもタイミングが非常に重要です。ギターの運指では、細かいタイミングの意識が大切になります。
弦を押さえるタイミングは、ずばり右手のピッキングと同じタイミングです。右手のピッキングで弦にピックがあたるのとほぼ同時に、左手の指で弦を押さえます。
多くの人はピッキングの前に弦を押さえますが、それではリズム感のある演奏が難しいです。なぜなら、右手と左手が別々のリズムで動いているからです。もし右手と左手の動きがぴったり合って、シンクロできていれば、リズムをとらえるのは簡単になります。右手と左手の息があってくると、ギターが思い通りに音を奏でるようになるのを実感できるようになります。
思い通りに音が出せるようになると、ギターの演奏がとても楽しくなり、練習のモチベーションが高まって、上達の速度も上がっていきます。
最初のうちは、左手が先に動いても構いませんが、徐々に右手とタイミングを合わせるように練習を重ねましょう。
1-3.右手のピッキングと同時に、左手で弦を押さえよう
ギター初心者のための運指練習フレーズ2
次に紹介する練習は、左手の弦移動の練習です。フレットの位置はある程度固定しつつ、弦と弦の移動を頻繁に行います。すぐ隣の弦に移ることもあるが、1本とばして次の弦に移ることもあります。
この練習は特にエレキギターでリードを弾く人にはオススメの練習です。リードにおける運指ではフレット間の移動だけでなく、弦の移動も頻繁に起こります。
この練習フレーズが滑らかに弾けるようになれば、弦の移動を間違えたり、左手と右手で違う弦を弾いてしまうようなミスも少なくなります。
運指練習1と同様、以下に練習時の注意点を挙げます。
2-1.弾かない弦をミュートする
弦を移動する運指練習の際には、弾かない弦をミュート(消音)することが大切です。ある弦(A)を弾いた後、次の弦(B)を弾く時に、弦(A)の音が消えずに残っていると、弦(A)と弦(B)の音が混じってしまい、聞いていて違和感があります。弦(B)に移ると同時に、弦(A)の音をミュートしましょう。
ミュートするには、「ミュートしたい弦に軽く触れて、弦の振動を止める」のが王道の方法です。
例えば弦(A)を弾いた後、弦(B)を弾く場合、弦(A)をミュートするわけですが、弦(B)を押さえると同時に、弦(A)に他の指で軽く触れます。または、弦(A)を押さえていた指を、そのまま軽く触れておいて弦の振動を止めます。
こういった方法で、弾かない弦をきちんとミュートしておくと、違和感のない、きれいな演奏ができるようになります。きれいな演奏ができれば、プロの演奏に一歩近づきます。
これは自然にできるようになるものではないので、初心者のうちから意識して癖をつけておくことが重要です。
2-1.鳴らす必要のない弦はミュートしよう
2-2.音を1つ1つ丁寧に鳴らす
これも、きれいな演奏を目指すにあたって重要なポイントです。弾く音1つ1つを丁寧に鳴らしましょう。初心者にありがちなのが、細かい弦移動が続く時に、ひとつひとつの音を正しく鳴らせず、メロディーがごちゃごちゃしてしまうことです。
細かいフレーズが丁寧に弾けるかどうかで、初心者と上級者の差は生まれます。細かいフレーズは誤魔化しがちですが、そういう部分こそ丁寧に演奏するように心がけましょう。
具体的なコツとしては、練習時にゆっくり目のテンポから練習する方法があります。練習はじめのうちは、ゆっくり、余裕のあるテンポで、1つ1つの音を正しく、きちんと鳴らすようにしましょう。そして、フレーズのすべての音を正しく鳴らせるようになってから、徐々にテンポを上げていきましょう。
もちろん、テンポを上げてからも、丁寧に演奏することを意識し続けます。
2-2.1つ1つの音をきちんと鳴らそう
2-3.常にピッキングの強さを同じにする
ここからはやや難易度の高いポイントです。全てのピッキングを同じ強さに保つように練習しましょう。
意識しなければ、ピッキングの強さは「どの弦を弾くか」「アップかダウンか」「ピックの角度はどうか」などの要因によって異なってしまいます。ピッキングの強さがコントロールできないと、重要でない部分の音が強調されたり、重要な部分の音が弱弱しかったりして、聴き心地が良くありません。
ピッキングの強さをコントロールできるようにするため、すべてのピッキングを同じ強さに保つ練習をします。
これができるようになると、ピッキングの強弱が安定し、思い通りの強弱が付けやすくなります。ピッキングの癖が少なくなり、コントロールが上手くできるようになれば、それだけ思い通りに音を操れるようになります。
コツとしては、ピックが弦に当たるときの、ピックの角度を同じにすることや、弦に当たるまでのピックの振り幅を同じにすることなどがあります。弦にピックが当たるときの条件を全て一定に保つように意識しましょう。
2-3.常に均一なピッキングができるようになろう
ギター初心者のための運指練習フレーズ3
最後に紹介するのは、弦の移動とフレットの移動の両方をミックスした運指練習です。ポイントは前述の1・2と同じなので、その復習を兼ねて練習してみてください。
もう一度前述のポイントをまとめておきます。
1―1.左手の指の動きを最小限にする
1-2.押さえる指の力を最小限にする
1-3.ピッキングと同時に弦を押さえる
2-1.弾かない弦をミュートする
2-2.音を1つ1つ丁寧に鳴らす
2-3.常にピッキングの強さを同じにする
まずは、1-1.左手の指の動きを最小限にします。指の動きを小さくすることで、早い動きに慣れ、正確な運指をできるように習慣づけます。そして、1-2.押さえる指の力を最小限にします。指の動きを小さくするとともに、弦に加える力も最小限に抑えます。そうすることで、指の疲労が少なくなり、効率的に練習できるようになります。
上記のことができるようになったら、次は、1-3.ピッキングと同時に弦を押さえるようにしましょう。ピッキングと同時に弦を押さえることで、右手と左手に一体感が生まれ、リズムを取りやすくなります。こうすることで、感覚的にギターを操れるようになります。
1のポイントを押さえたら、2-1.弾かない弦をミュートすることを覚えましょう。弾かない弦というのは、音を鳴らす必要のない弦のことです。ある音から次の音に移動するとき、前の音が残っていると、音が重なって違和感が発生します。ある弦から別の弦に移るときは、前に弾いた弦に軽く触れて、振動を止める癖を付けましょう。
ここまでできたら、初心者のための運指練習は、ほぼマスターしたようなものです。ここからはややレベルの高い練習になります。まず、2-2.音を1つ1つ丁寧に鳴らす練習をしましょう。初めはゆっくりの速度で練習し、すべての音を確実に弾けるようになったら、徐々にテンポを上げて行きましょう。そうすることで、雑さのない、プロに近い演奏ができるようになります。
そして最後に、2-3.常にピッキングの強さを同じにする練習をします。ピッキングの強さを一定に保つ練習をして、強弱にムラができないようにしましょう。これができれば、演奏中の強弱を自在につけられるようになり、表現力が身に付いてきます。
ギター初心者のための運指練習 まとめ
今回は、運指練習でできるだけ早くギターが上達するように、練習方法とフレーズを解説しました。単にフレーズを繰り返すだけでなく、ポイントを理解しながら練習しましょう。解説の内容を理解しながら、質の高い練習をすれば、同じ時間の練習でも、より早く上達することができます。
なお、運指練習も含め、もっと基礎の練習をしたい方のためにギター基礎練習のフレーズ集!毎日5分で上達する方法で9つの基礎練習フレーズを紹介しています。今回の運指練習よりも取組みやすいものも多いので、ぜひ挑戦してみましょう。