ギュイーンと言うギターの音と共に目を瞑り、恍惚の表情を浮かべ自分の世界に入り込んでいるギタリストの映像を見たことはないでしょうか?この音の正体は「チョーキング」というテクニックです。
有名所のギタリストだと、ジミ・ヘンドリックスとかカルロス・サンタナとかゲイリー・ムーアなんかはチョーキングの時には目を瞑ってみたり、口を開いてみたり、顔をしかめてみたりと、とにかく表情豊かになります。
今回はギターのチョーキングとは何なのか?という事とチョーキングのやり方とコツを解説します。
ギターのチョーキングとは何ぞや?
ギターのチョーキングと言うテクニックはどんなテクニックなのかと言いますと、「弦を押し上げて音程を上げるテクニック」です。
大体全音だったり、半音だったり挙げて使うことの多いテクニックですが、やろうと思えばもっと高い音まで音程を変える事ができて、ピアノなどでは出せない音のニュアンスを出すことが出来ます。
チョーキング(チョーク・アップ)して元の音程に戻すことをチョーキングダウン、またはチョークダウンと言います。
ちなみにチョーキングと言うのは日本でしか通用しない呼び方で、海外ではBend(ベンド)とかBending(ベンディング)と言います。
チョーキングはギタリストの個性が感じられるテクニックでもあり、ロックソングでもバラードでも感情を爆発させるようなフレーズで多用されます。
なのでチョーキングする時に音と一緒に感情が爆発して、人それぞれ目を瞑ってみたり、口を開いてみたり、苦悶の表情を浮かべてみたりするわけです。
ギターのチョーキングのやり方
では、ギターのチョーキングを画像付きで解説していきたいと思います。
チョーキングには普通のチョーキング以外にも種類があるのですが、ひとりあえず一般的なチョーキングのやり方をご覧ください。
チョーキングのやり方
普通のチョーキングから行きます。まず、このようにして特定のポジションを押さえて、
薬指でグゥっと弦を押し上げてください。仮にこれが人差し指だろうと中指だろうと、基本的なチョーキングの動作はこの動きです。
これで全音チョーキングも半音チョーキングも、クォーターチョーキング(四分の一程度音程を上げるチョーキング!タブ譜ではQ.Cと書かれることが多いです)も出来ます。
なお、チョーキングの時に中指が立っちゃうのは私の癖なので、そこは気にしないで薬指に注目してください。
ユニゾン・チョーキングのやり方
ユニゾン・チョーキングとは、「一つの弦の音に対して別の弦をチョーキングして同じ音にするテクニック」です。下の画像のように二か所押さえた状態で、
薬指で押さえている弦をチョーキングして、人差し指で押さえている所と同じ音にします。ついつい人差し指も同時にチョーキングしてしまいそうになりますが、そこはグッとこらえて薬指だけを動かします。
ハーモナイズド・チョーキングのやり方
ギターのハーモナイズド・チョーキングとは「一つの弦の音に対して別の弦をチョーキングしてハモらせるテクニック」の事を言います。
下の画像では、薬指で押さえてるポジションに対して、中指で押さえている所をチョーキングしてハーモニーを作ります。
中指をチョーキングするとこのような形になります。
今回は中指と薬指でハーモナイズド・チョーキングを行っていますが、実際曲の流れやフレーズの流れでハーモナイズド・チョーキングが出てきた時は薬指と小指でやる事が多いです。しかし、これはちょっと難しくなっちゃうので敢えてこの形にしてみました。
チョーキングのコツ
ギターのチョーキングにはいくつか押さえておきたいコツがあります。これを知っているのと知っていないのとでは雲泥の差が出ますので、しっかりと覚えてください。
指の力を使わずに手首を回す
チョーキングは便宜上「弦を押し上げる」とほとんどの教則本で言われますが、そう書かれると指の力で押し上げるものだと思っちゃいますよね?
でもそんなことしちゃうと、ギターを始めたばかりの頃はまだ指先が固くなっていないので弦が指に食い込んでめっちゃ痛いです。
「ギターのチョーキングは指の力ではなく、手首を回して行う」のが良いです。
次の写真、手首が回っているのがおわかりになるでしょうか?後はこれにちょっとだけ指の力を加えればOKです。
それでも最初は指が痛くなることもあるかと思いますが、指の力だけでチョーキングするよりはかなり楽だと思います。
6弦と5弦は引っ張ってチョーキング
ギターのチョーキングは全ての弦で行えるテクニックです。でも、6弦と5弦は弦を押し上げたらフレットボードから弦が外れて「ぺよ~ん!」って力ない変な音が鳴ってしまいます。
なので、「6弦と5弦は引っ張ってチョーキング」します。むしろ1・2・3弦のように押し上げないので楽に感じるかもしれません。
ちなみに4弦は引っ張っても押し上げてもどちらでも良いです。
出来るだけ中指と薬指を使う
ギターのチョーキングは様々なフレーズで登場しますが、人差し指と小指でチョーキングするとなると、出来ないわけでは無いのですがちょっと大変なんです。
なので、どんなフレーズでも「出来るだけ中指と薬指を使う」ように運指を工夫しましょう。
人差し指で隣の弦に触れてミュートをしっかりと
ギターのチョーキングはそのまま勢いでギュイーンとやってしまいたくなりますが、何も考えずにチョーキングすると、他の弦に当たって余計な音が鳴ってしまいます。
なので、中指や薬指でチョーキングをする時は「人差し指で隣の弦に触れてミュートをしっかりと」しましょう。
練習フレーズ
ここまででギターのチョーキングのやり方とコツを大分理解できたかと思います。ですが理解しただけではギターは上手くならないので早速練習していきましょう。
練習フレーズ1
最初の練習フレーズは、3弦12フレットを全音チョーキング(1音チョーキング)するフレーズです。このフレーズを速くすると、きっとあなたも良く聴くギターフレーズになりますよ。
練習フレーズ2
Tux Guitarというフリーソフトを使いこなせないからなのかタブ譜で上手く表記できていません。
音を聴いてもらえばわかるかと思いますが、最初のチョーキングは3弦7フレットを全音チョーキング(1音チョーキング)してそこから元の位置までチョーク・ダウンします。
最後の3弦7フレットのチョーキングも全音チョーキングです。
このフレーズも速くすると良く聴くギターのフレーズになりますが、まずはこのくらいのテンポでじっくりと。
練習フレーズ3
最後はユニゾン・チョーキングとハーモナイズド・チョーキングの練習です。
最初の1小節はユニゾン・チョーキングなので、3弦7フレットをチョーキングして2弦5フレットの音に合わせます。
2小節目はハーモナイズド・チョーキングなので、3弦9フレットをチョーキングして2弦10フレットの音とハモらせます。
後は繰り返しです。
まとめ
ギターのチョーキングはギュイーン!ギュワーン!と決まると最高に気持ちいいギターのテクニックです。
最初は指が痛くなる日もあるかもしれませんが、じっくりと練習してチョーキングをマスターしたらあなたも是非顔でギターを弾いてみて下さい。