ギターを始めて最初の壁と言われるのがFコードです。無駄な苦労をせずに、Fコードを早く弾けるようになるためのコツはないのでしょうか?
以下では、Fコードをすぐに弾けるようになるための「5つのコツ」を分かりやすく解説しています。よく読んで、コツをつかみ、誰よりも早くこの壁を越えてください。
Fコードとは
まずFコードを見てみましょう。一度図の通りに押さえてみてください。それから5つのコツを紹介します。
これがFコードです。このような表記をコードダイアグラムといいます。縦の線はフレットの番号、横の線は下から6、5、・・・1弦を示しています。内側の文字はどの指で押さえるかを示しています。これを実際に押さえている以下の画像を見てください。
これは演奏者から見た写真です。人差し指は寝かせて1フレットをすべて抑え、中指で3弦2フレット、薬指で5弦3フレット、小指で4弦3フレットを抑えています。
このように、一本の指で複数弦を同時に押さえる事をセーハ(バレー)と言い、バレーが必要なコードをバレーコードといいます。セーハは主に人差し指と薬指で行うテクニックです。
押さえられたら、6弦から1弦まで一本ずつ弾いてみてください。きれいにすべての音が鳴ったでしょうか?ここまでを見て、押さえられなくても問題ありません。ここから先を読んでもらえれば、すぐに上達のコツが分かってもらえると思います。
以下にあげるのがFコードを弾けるようになるための5つのコツです。
1.まずEコードを押さえ、スライドして人差し指を添える。
2.できるだけフレット付近を押さえる。
3.親指は人差し指の裏側。
4.人差し指以外の指は、フィンガーボード(指板)に対して立てる。
5.省略形コードで誤魔化す。
1.Eコードを押さえ、スライドして人差し指を添える。
1つ目のコツは、「まずEコードを抑えてから、指の形をそのままスライドし、人差し指を1フレットに添える」というものです。どういうことなのか、具体的に説明します。
まず、Eコードについて解説します。
これがEコードのコードダイアグラムです。ただし、一般的な押さえ方とは使用する指をあえて変えてあります。
通常の押さえ方を知っている方もこの通りに押さえてみてください。このやり方でEコードを弾くことはそれほど難しくないはずです。
この形で押さえてみると、あることが分かります。これがFコードの人差し指以外の指の形と同じであることにお気付きでしょうか?。ダイアグラムを見比べると良く分かって頂けると思います。
Fコードを弾けるようになるためには、この形でEコードを押さえられることが必須です。これができれば、Fコードはあともう少しで弾けるようになります。
この形でEコードを押さえたら、その手の形をそのままにして、すべての指を一フレットずつ上にスライドしましょう。
このようにスライドできるでしょうか?ここまでできたら、あとは人差し指を添えて、1フレットを押さえるだけです。
このやり方のポイントは、人差し指ですべての弦を押さえようとしないことにあります。Fコードを弾く時に、人差し指が押さえる弦は、1・2・6弦の3本だけです。
6本すべてを一度に押さえようとすると無理な力がかかり、指をすぐに痛めてしまいます。Eコードの形を押さえてから、人差し指を添えれば、1・2・6弦に集中できるため、練習時にも指にかかる負担が少なくて済みます。
1のポイントをまとめておきましょう。
・Eコードの形を押さえてから、スライドして人差し指を添える。
・人差し指で押さえるのは、1・2・6弦だけ。6本すべて押さえる必要はない。
これだけ覚えておけば指を痛めにくく、練習がスムーズです。Fコードの形もすぐに覚えられます。しかし、これだけではきれいに音を鳴らすことはできない方も多いと思います。それでも全く問題ありません。
ここからは、さらに細かく押さえ方に焦点を当てて解説していきます。
2.フレット付近を押さえる
さて、ここからはより細かく、押さえ方のコツにフォーカスします。この章では、フレットに注目してみましょう。
ギターの音の高さが変わるのは、ギターの弦がフレットに触れ、振動する弦の長さが変化するからです。つまり、正しく音を出すにはフレットに弦をしっかり当てる必要があります。
逆に言えば、指に力を入れなくても弦がフレットにあたりさえすれば良いです。いかに無駄な力を入れずに、弦をフレットにあてるかがポイントです。それを解決するのが、「できるだけフレットの近くを押さえる」ということです。
以下の画像を見てください。
図の吹き出しに書いたように、押さえる指の位置がフレットから遠いと、その分指に余分な力がかかります。反対にフレットの近くギリギリを押さえれば、最小限の力で弦をフレットに当てられるんです。
Fコードに限らず、すべてのコードにあてはまることですが、使う指全てでこのやり方を適用すれば、手にかかる負担は大幅に小さくなります。
最小限の力で押さえられれば、音が出しやすくなり、「音がきれいにならない弦がある」という状態を改善できます。また、練習もしやすくなり、上達も早くなります。フレット付近を押さえる習慣はぜひ早めに身に着けて欲しいです。
・ギターは弦とフレットがしっかり触れることで音が鳴る。
・できるだけフレットの近くを押さえることで最小限の力で指の形をキープできる。
3.親指は人差し指の裏側
上記1・2のコツをしっかり理解してもらえれば、あとは少し練習を重ねてもらえれば、感覚的にFコードのポイントが抑えられるようになると思います。
ここからは、1・2がしっかりできた上で、一応把握しおくと良いと思われる部分を解説していきます。1・2ができていれば自然とできるようになると思うが、余裕があれば軽く目を通してもらいたいです。
3で扱うポイントは、親指の位置です。以下の画像を見てください。
注目して欲しいのは、親指の位置です。人差し指のちょうど反対側に親指があります。これが、もっとも押さえやすいFコードの指の形です。
人差し指と親指でつかむように挟むことで、手全体の位置が安定します。もしかすると個人差があるかもしれませんが、自然な手の動きを考えると一番力が入りやすいはずです。
・親指の位置は人差し指の裏側。
2で述べたように、フレット付近を押さえていれば力はいらないので、このやり方でなくとも自分のやり易い形でも構いません。手を安定させる方法として一つの参考にしてみてください。
4.人差し指以外の指は垂直に立てる
4についても、2のポイントをしっかり身に着けてもらえれば自然とできるようになると思われます。Fコードでは、人差し指は寝かせているが、ほかの指はしっかり立てなければなりません。
指板に対して垂直に指を立て、指先で弦を押さえます。
注意点が一つだけあります。指を立てるのは、指板に対して立てていれば、弦の張ってある方向に対してはやや斜めになって構いません。むしろ、弦の方向に対してはやや斜めの方が押さえやすいかもしれません。以下の画像で赤線に注目してください。
指が赤線で示したように、弦に対して斜めになっています。指を立てつつ、弦に対してはやや斜めが理想です。
・人差し指以外の指は指板に対してしっかり立てる。
・弦の方向に対しては、やや斜めでもよい。
これは個人差のある部分でもあるので、やってみて上手くいかなければ独自の方法でも大いに問題ありません。あくまでも参考として試してみてください。
5.省略形で誤魔化す!?
さて、Fコードのコツは理解して頂けたでしょうか?。コツを理解したら練習あるのみなので、ぜひギターを手に取って練習に励んでください。
しかし、どうしても弾けるようにならない時や、急を要する時に、とっておきの秘策があります。誤魔化すテクニックです。Fコードはできるとかなり応用が利くので、できれば弾けるようになってもらいたいですが、厳しいときのために一応奥の手を紹介しておきます。
以下のダイアグラムを見てください。
これもFコードです。ですが、人差し指を6弦まで回さず、1・2弦にとどめています。これでも一応Fコードの音になります(本来は一番低い音がF(ファ)にならなければならない)。
この形ならCコードなど他のコードからの押さえ変えもスムーズです。素早く押さえ変えたいときには便利なので、ここぞというときに使えるように覚えておいても良いかもしれません。
まとめ
Fコードはコードの練習をし始めると必ずあたる壁です。押さえられず苦しい思いをする時もあるかもしれません。しかし、どんなに厳しく練習をしても、決して「楽しむ気持ち」を忘れないでほしいです。
たとえFコードができなくても、曲の中では適当に誤魔化しても、聞き手には意外と気づかれないものです。むしろ初心者のうちは、誤魔化すことを楽しんでも良いくらいです。
そうして楽しんでいるうちにいつの間にか弾けるようになっていたりします。どうか末永くギターを楽しんで欲しいと願っています。